ロンド ~壮馬
夏美は 女性らしい 細やかな気配りもできた。
夏美を 知るほどに、壮馬は 夏美から 目が離せなくなった。
研究室は 府中市の工場の 一画にある。
夏美は いつも 工場の 女子事務員と 昼食を取っていた。
そういう時の 夏美は 普通の 女の子だった。
明るい笑顔で 楽しそうに テレビの話しなどを している。
研究室で 機械を動かしている時の 夏美とは 全く違っていた。
いつも素顔で カジュアルな服装で 通勤している夏美。
大学生のように見える。
色白で 大きな瞳の 綺麗な顔立ち。
無造作に 束ねた髪は サラサラで。
笑ったとき 少し 幼くなる表情が 壮馬は大好きだった。
でも 壮馬は、夏美に 思いを告げるまで 2年もかかった。
自分の立場を 考えると 安易な行動は できない。
壮馬は 毎日 夏美を見つめながら 揺るがない決心を 確認し続けた。