ロンド ~壮馬

恋のはじめの 甘い時間に 夏美は 夢中になっていた。



「壮馬君。私 壮馬君のこと 何も知らないの。壮馬君の家族って どんな感じ?」


夏美が聞く。


「俺の家族?すごく 仲が良いよ。ナッちゃん、笑うかもしれないけど 俺 家族が好きだよ。両親は いまだに ラブラブだし。結婚した姉とも よく会うよ。社長の家も すぐ近くだから 従兄弟とも 兄弟みたいだし。」


壮馬の答えは 素直で、夏美を 温かい気持ちにする。


豊かで 温かい家庭で 育ったから 壮馬は こんなに優しいのか。



反面 夏美は 不安でもあった。


やっぱり 自分は 壮馬に 相応しくないのではないか。


 


「私、すごく 田舎者だから。壮馬君の家族と 合わないかも。」


夏美が 恐る恐る言うと
 

「そんなことないよ。そのままのナッちゃんで 大丈夫だよ。引け目を感じること ないからね。自信を持って。」


壮馬は 一生懸命 夏美の不安を 取り除こうとしてくれる。
 


夢なのか 現実なのか。


臆病な夏美は ゆらゆら揺れながら




でも もう 引き返せないくらい 壮馬に 惹かれていた。


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