ロンド ~壮馬

壮馬の父は 週に一度くらい 工場に顔を出す。


そういう時の父も 穏やかで 謙虚に 社員と接する。


でも 父の目には 厳しい緊張感があった。


仕事だから。副社長だから。
 


職場で 副社長としての 父を知っている夏美は 家族といる父に驚く。


始終、優しい笑顔で 壮馬や母を 愛おし気に見つめる父。


どこにでもいる 普通の父親の顔。


大きな会社の 副社長なのに。



夏美の 驚きや不安を 想定して、受止め、取り除く言葉を かけてくれる。


夏美を 見下すことも 馬鹿にすることなく。



ただ 温かい愛情で 包み込んで。


夏美は 『どうして、私なんかに。』という思いで いっぱいになる。
 



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