ロンド ~壮馬
「絵里加、お姉様なんて 呼ばれたことないの。みんな 絵里ちゃんって呼ぶから。ナッちゃんも 絵里ちゃんって呼んでね。」
絵里加の言葉に、みんなが 顔を見合わせて笑う。
「ありがとうございます。」
夏美も 笑顔で頷く。
「絵里加、変な事 言ったかしら?」
と絵里加は まわりを見る。
「さっき、ママも 絵里加と同じこと 言ったんだよ。」
と父は絵里加に説明する。
なるほど、という顔で 絵里加は頷いて
「ねえ、ナッちゃん。タッ君や恭子ちゃんには もう会った?」
と聞いた。
夏美は 壮馬の方を見る。
「専務と 奥さんのことだよ。」
壮馬は 優しく説明してくれる。
夏美は 驚いて首を振る。
「ナッちゃん、役員だらけで 怖いって言うんだよ。」
壮馬が答えて、みんなが笑う。
夏美が 照れて俯くと
「大丈夫よ ナッちゃん。タッ君パパも、タッ君も、家に会社は 持ち込まないもの。ナッちゃんなら すぐに 仲良くなれるわ。」
絵里加は 優しく言う。
夏美は 少し困ったように苦笑して、
「一度には 受止めきれないので、また今度 お願いします。」
と言った。
絵里加は 更に優しく微笑み
「ナッちゃんが いい加減な気持ちじゃない事 よくわかるわ。よかったわね、パパ。ママ。」
と言った。