ロンド ~壮馬

本当の 豊かさって こういう事なのかと 夏美は思っていた。


裕福なだけの 家庭は いくらでもある。

でも、こんなに 豊かな家庭は 滅多にないと思う。


そして夏美は 自分が その家族に 迎えられたことを 誇りに思っていた。
 


壮馬の母は 家族が 手伝う以上のことを 家族に返していた。


家事を 義務でするのではなく 家族を思って 一層手厚く 家庭を整えていた。

壮馬の家に 入った瞬間に、夏美は 感じていた。
 


「壮馬君、ありがとう。私 もっと 頑張るからね。」

夏美が言うと、
 
「頑張らなくていいよ。ナッちゃんは そのままで。」

壮馬は 夏美に 抗議するように答える。
 

「ううん。頑張りたいの。どんどん、頑張る力が 湧いてくるの。」

夏美は 笑顔で言う。
 


「無理しないでよ。長距離走 なんだから。途中で スタミナ切れ しちゃうからね。」


壮馬は 温かい目で 夏美を見て言った。

 

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