ロンド ~壮馬
夕食後、二人は よく 近くの公園を 散歩する。
「外は、案外 涼しいね。」
壮馬と 手を繋いで 歩きながら 夏美は言う。
「うん。でも 雨の匂いがするね。明日は 雨かな。」
壮馬は 深呼吸して言う。
外を歩き、自然に 触れることは 夏美の五感を 大きく刺激した。
空の色や 雲の動き。
空気の匂い、風の音。
知識として 知っていたことを 直接 肌で感じる。
そういう経験が 夏美を 磨いていく。
「俺 高校を 卒業するまで 毎朝 父と 散歩していたんだ。」
歩きながら 壮馬は言う。
「毎朝?学校へ 行く前に?」
夏美は 驚いて聞く。
「そう。起きたらすぐ 散歩して、それから 朝ごはん食べるの。毎日 30分くらい 歩いたかな。」
壮馬は 何でもないように言う。
「すごいね。副社長 良いパパだね。何才くらいから 散歩していたの?」
夏美は 壮馬の話しに とても 興味を持って聞き返す。
「幼稚園の頃かな。絵里ちゃんと 3人で歩くんだけど、 色々話して すごく 楽しかったよ。歩いた後は 朝ごはんも 美味しいし。」
壮馬の 人間性は 簡単に できたものではない。
小さな頃から 父と母は 心を込めて 子育てをしていたと 夏美は思った。