エチュード ~由希

料理が一段落したタイミング。


絵里加のママは 由希に コーヒーを淹れてくれた。

二人、カウンターに腰掛けて 話し始める。
 

「狭い世界から 出ようとしないくせに 妬みばかりで。変わらないわね。」


絵里加のママは 遠くを見る目をした。
 


「私 絶対に 東京の 一流企業に就職したかったの。だから 夢中で勉強したわ。中学も高校も。」

絵里加のママの言葉に、
 

「勉強していると みんなが色々言うの。由希は特別だから とか。お金持ちの親戚がいるから いい気になっているとか。」

由希が言うと、
 

「私なんて たかがクリーニング屋の 娘のくせにって 言われたわ。」

と笑った。
 


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