響のツバサ
「なんでお前が家に入ろうとしてんだよ。」

「言ったでしょ。お粥作って看病してあげるって。」

「来るなよ。」

「寒いから入れて?」

「もう春だろ。寒くない。」

「春でも夕暮れ時は寒いんだもん。
心が寒いんだもん。」

「そんなこと言われたって...。」

「ちょっとだけだから。
ね、おねがいっ...!」

おねがい...。

上気した顔に、上目遣いで見つめられたら...。

キラキラにフィルターかかってるし...。

ここで屈するわけには...。

「おねがい。」

「...。」

「ヒビキくん...。」

「...あまり長居するなよ。」

「やったー!
ありがとう♪」

調子のいいやつ。
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