響のツバサ
そういえば、ミヨリの翼なのだが。

彼女と過ごしていくと、時折彼女の背中から立派な白い翼が生えることがある。

多分興奮など、気持ちが高ぶるとそうなるらしい。

俺はもう慣れたけど、やはり最初の時は少しびびった。

彼女だけの特異体質...というわけでもなく。

ミヨリの母親、祖母なども若い頃には同じ症状(?)が確認されていたらしい。

もっとも、歳を取るにつれて症状はなくなっていくみたいだし、そもそもミヨリの母方の兄弟、姉妹にはその症状が発現しなかった。

おそらく、遺伝的なものだろう。

ものだろう、で片付けられる話でもなさそうだが、とりあえず、この変な症状については暗黙の了解で他人には秘密ということになっている。

追及は面倒だし、とりあえず人前で興奮させなきゃ大丈夫だろう。

と、言っている側から。

「おい...。
その明らかに我慢してる感じやめろ。」

「だって...、
ヒビキくんとこうやって手を繋いで歩くの久しぶりなんだもん...。」

「お前がどうしてもって言ってきかないから仕方なくそうしたんだろ。
我慢できないなら離すからな。」

「えー。」

...。

なんか、

周りがうるさくなったし、色が多すぎて目はちかちかするし。

こいつがいるだけで、見えかたとか、こんなに変わるものなのか...?

「見てっ!
ヒビキくん、桜が咲いてるよ〜。
綺麗だね。」

「ああ...。」

「...ヒビキくん、今日は目がキラキラしてるね。」

「え?」

「元気になって良かった。
ミヨリのおかげだね。」

「ああ、そうだな。」

にこにことしてやがって...。

俺といることがそんなに楽しいのか。

「ミヨリ。」

「なあに?」

「また...これからよろしく。」

「!」

ミヨリは頬を染めて、上目遣いでこちらを見た。

「ヒビキくん...。
私、やっぱり我慢できないよ...。」

「おい、まさか...。」

「ヒビキくんっ!
一緒にお空にいこ。」

「いや、
ばかばかばか!!」

やばい、失言した。

こいつの扱い大変なこと忘れてた。
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