死ぬのは溺愛のあとにして?【加筆終了1/1】

まだ29なんだし、仕事なんて選ばなければ次があるのはわかってる。

住む場所だって、出会いだって、恋だって同じく。


でもさ――


「⋯⋯つかれちゃった」


どんなに努力しても、耐えても、会社にもヒロキにも認めてもらえることは無かった。


私の何がいけないの?

努力が足りなかった?


自問自答しても、何も見つからない。

なのに、抱えきれない感情がぐるぐると心を焼き尽くす。


私がいなくても世の中は回ってゆく。


今まで積み上げまで来たものは、タダのガラクタとなって壊れてゆき。

そして、弱い私はその現実を受け入れることができないから


逃げ出してしまいたい。


『そうだよ、逃げちゃえよ』

『そのまま飛び込め』


ふと、悪魔がささやく。


そうすれば楽になれる?


立ち上がって、ミニチュアの夜景を見下ろしたとき。
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