死ぬのは溺愛のあとにして?【加筆終了1/1】
そして――
宣言通り、富丘くんは一度だけ私を抱いた。
普段の冷静さや、クールなんて塵も感じないくらい情熱的に私を求めて。
柔らかい唇と指先で丁寧に私をほぐして、そして焦ったように身を沈めると、ヒロキとの記憶を消し去るようにゆらゆらと揺さぶった。
身体を焼き尽くしそうなほど激しい行為なのに、その指先はガラス細工にでも触れるかのように優しくて。
はじめて触れた彼の熱に、感動のあまり私の目からは涙が流れた。
「泣かないで⋯⋯ごめん、もう、やめられない」
「ちがっ⋯⋯こんなに、優しいの、はじめてで」
そう告げると、富丘くんは一瞬苦しそうな顔をしたあと、考える余裕を奪うかのように滑らかに動いた。
心を通わせようとしてくれるのが伝わってくる。
愛のある行為というものを、はじめて知ったような気がする。
ヒロキが、私を愛していなかったことを、ここでも思い知ってしまった。
冷え切った心に、富丘くんの優しさが染み渡って、
それでもって、私よりも大きな身体は、愛を欲しがり、求めて触れてくる。
何度もキスをくれる唇は、飽きもせず愛をささやいて⋯⋯
嫌じゃない。ぜんぜん。
むしろもっと⋯⋯もっと愛して欲しい。