死ぬのは溺愛のあとにして?【加筆終了1/1】
「おはよ、あすみ」
腕の中で硬直する私にもういちど挨拶をしてくれる。
彼がこんなに甘やかすような顔で名前を呼ぶなんて、誰か想像できるだろう。
心臓が⋯⋯大暴走する。
造形物のような美しさに、見惚れてしまいそう。
「お、おはよ⋯⋯」
消えそうな声で返すと、自分の頬が朱色に染まるのが分かる。
「顔真っ赤⋯⋯かわいい」
「かわいくなんか⋯⋯ないでしょ」
今までそんなこと、言ったことないくせに⋯⋯。
彼はアーモンド型の切れ長の瞳を緩ませると、私の長い髪を整えるように梳く。
こんなに綺麗な人が⋯⋯ずっと私を好きだったなんて、信じられない。
そしてすっかりと自分の中の、癒えようのないと思い込んでいた傷口が、小さくなっていることに気づいた。
でも、この先、どうするんだろう⋯⋯。