死ぬのは溺愛のあとにして?【加筆終了1/1】
再び心に闇が芽生えそうになっていたら、
「不安そうな顔⋯⋯しないで」
そう言った富丘くんは、私の頭の下に腕を通したまま、よいしょと少しだけ身体を起こした。
「“ちょうだい”って意味ちゃんとわかってる?」
「え⋯⋯」
サラサラの髪が横に流れるさまに、目を奪われながら聞き返す。
「もしかして⋯⋯抱きたいだけだと思ってた?」
「あ、いや⋯⋯」
富丘くんに限って身体目当てとかは思わなかったけど⋯⋯。
「まぁ、抱きたかったのは否定しないけど」
「⋯⋯や、やめてよ」
その言い方は恥ずかしい。
でもこれからどんな関係になるのかなって疑問はあったわけで。
「――だから、ちゃんと言わせて」
ほんの少しだけ、無表情の口元に笑みを刻んだ富丘くんは、シーツを握っていた私の手を取って口元へと運んだ。