死ぬのは溺愛のあとにして?【加筆終了1/1】
私の不運が運命と言われるのは、ちょっと複雑だけども、なんて前向きなとらえ方だろう。
降りかかった災難をそんなふうに思える彼は、いい意味で、少し変わり者なのかもしれない。
「生涯をかけて大切にする。だから、ゆっくりでいいから、僕を好きになって⋯⋯いつか愛してると言ってくれると嬉しい」
はじめて見た、満開の桜のような笑顔。
私もつられて顔が綻ぶ。
例えこれが運命だとしても、そうではないとしても、
彼となら、間違いなく素敵な一歩を踏みだせる。
これは、密かなる確信。
「いいよ⋯⋯富丘くんの、お嫁さんになるよ」
すると、私の決意を受けた富丘くんは、信じられないと言わんばかり目をパチクリとした。
昨日、私からキスをしたときと同じ顔だ。
「⋯⋯ほんと?」
「うん、ほんと」
安堵したように、大きく息を吐いた彼は。
「あぁ⋯⋯ありがとう、あすみ。」
真っ直ぐと私に両腕を伸ばしてきた。