死ぬのは溺愛のあとにして?【加筆終了1/1】
ズタズタに心を割かれた私は、退職後にタクシーに乗り、交際して10年になる恋人・ヒロキの住むアパートへと向かった。
いきなり来ちゃったけど、ヒロキいるかな⋯⋯。
高校2年のときに同じクラスだった彼から告白されて付き合い出した私たち。
それまでただの気の合うクラスメイトだったのに、押しに弱い私はあっという間に彼に恋して、今では立場が逆転している。
笑顔が可愛くて、とても爽やかなスポーツマンな彼は女子にも人気。
しかし、その裏では、女グセの悪さと、お金使いの荒さで、なんども振り回されてきた。
メッセージに女性の名前が表示されていたり、仕事をやめたと突然ウチに転がり込んできたと思ったら、ふらりといなくなったり
しまいには、結構な多額のお金を貸したこともあったり。
実は今もそれも返してもらっていなかったりして。
友達いわく、私は“男をダメにする女”らしい。
確かに、好きなら尽くしたいと思っちゃうし、『別れよう』って言われることを考えると、怖くてなんでも言うことを聞いてしまう。
はじめての彼氏でもあって、失うことにビクビク怯えているのだ。
自分でもダメ女なのは理解している。
でも、今日くらいは⋯⋯寄り添ってほしかった。