死ぬのは溺愛のあとにして?【加筆終了1/1】

本当に今日は、ツイてないや⋯⋯


長い階段を登りきった私は、ビルの屋上にやってきた。

フェンスを乗り越えて、真下に広がるミニチュアの都内の街並みを見下ろすと、そのまま地上へ吸い込まれそうになる。


なんて、ちっちゃい世界だろう


足を投げ出して座ってみると、地上から舞い上がる風がズボンの裾から入り込み、夏なのに少しだけ肌寒く感じる。

足に引っ掛けるパンプスが、落ちてしまいそうだ。


一歩踏み出せば、大都会へ真っ逆さま、なのに不思議となんとも思わない。


私のココロは故障しているんだろうか。



まるで、光の届かない海底を、ゆらーり、ゆらーり、ひとり漂流しているみたいで。


その闇の中で、息すら出来ないのに、

苦しいともなんとも思わなくて。

そんな自分のどこが故障しているのかも、わからない。


まるで海の底に沈む壊れたオモチャ。

< 9 / 31 >

この作品をシェア

pagetop