死ぬのは溺愛のあとにして?【加筆終了1/1】
本当に今日は、ツイてないや⋯⋯
長い階段を登りきった私は、ビルの屋上にやってきた。
フェンスを乗り越えて、真下に広がるミニチュアの都内の街並みを見下ろすと、そのまま地上へ吸い込まれそうになる。
なんて、ちっちゃい世界だろう
足を投げ出して座ってみると、地上から舞い上がる風がズボンの裾から入り込み、夏なのに少しだけ肌寒く感じる。
足に引っ掛けるパンプスが、落ちてしまいそうだ。
一歩踏み出せば、大都会へ真っ逆さま、なのに不思議となんとも思わない。
私のココロは故障しているんだろうか。
まるで、光の届かない海底を、ゆらーり、ゆらーり、ひとり漂流しているみたいで。
その闇の中で、息すら出来ないのに、
苦しいともなんとも思わなくて。
そんな自分のどこが故障しているのかも、わからない。
まるで海の底に沈む壊れたオモチャ。