エリート外科医の滴る愛妻欲～旦那様は今夜も愛を注ぎたい～
水曜日。出社すると、状況がさらにひどいことになっていた。

「今さら変えるってどういうことですか……！」

別会社の開発チームが、データーベースの構造をがらりと変えたいと言い出した。仕様変更というやつである。

しかし、こちらは現在の構造を元に開発中だ。

プログラムの中には、製造が終わり、テストを完了しているものすらある。

今さら変えられてしまったら、多くのプログラムが作り直し。

テストだってせっかく終わったのにやり直さなきゃならない。

これまで頑張って上げてきた進捗率が、一気にゼロ近くまで戻るのだ。今のスケジュールにそんな余裕などない。

「どうしても変えないと、ＰＩＴ側が開発しているシステムが成り立たないそうだ」

ＰＩＴとは、うちの会社に開発を依頼した一次受け会社のこと。

確か『プロフェッショナルインテリジェンステクノロジー』の略だったと思う。一部上場のそれなりに大きな会社だ。

大きなシステムを開発する場合、システムをパーツごとに切り分け、それぞれ別の会社に開発を依頼することが多い。

でき上がったパーツを最後に結合して、ひとつの製品を完成させるのだ。

結合するからには、各々のパーツのインターフェースを合わせておく必要がある。インターフェースとは、パズルのピースの凸と凹の部分。違っていればかみあわない。

ＰＩＴが凸を変えたいと言えば、うちの会社も凹を変えなければならない。協力は不可欠なのだ。
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