エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
それから、私は採血室と生理検査室に向かい、血液検査と心電図の計測。

外来の待合室に戻ると、しばらくして再び診察室に呼ばれた。

まだ透佳くんは来ていないようで、沢渡先生とふたりきりだ。

「心電図の結果は異状なし。まぁ、不整脈なんていつ起こるかわからないからね。検査で異常が見られないことも多い。どうやら須皇先生は予想していたみたいだな。ホルター検査もやるって言ってたし。血液検査の結果は来週出るよ」

透佳くんがいなくなった途端、沢渡先生の態度が横柄になった。ポカンとして様子を見守る。

「で? 君、先生のなんなの? 恋人?」

透佳くんがいる間は聞けなかったのだろう、物珍しそうな目でまじまじと観察された。

「一応、婚約者、なんですが……」

「へぇ! そりゃあ、一波乱ありそうだなぁ」

沢渡先生の目が嬉々として輝く。言葉自体は不穏極まりなく、言っていることと態度がかみ合わない。

「波乱、ですか?」

私が首を傾げていると、先生は眼鏡のブリッジを押し上げ私を覗き込んだ。
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