エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
その日の夜。二十時に家に着くと、透佳くんはすでに帰ってきていて、キッチンで夕食のパスタを作っていた。

朝、今日は仕事と言っていた透佳くんだったけれど、本当は一日オフだったみたいだ。

「おかえり彩葉。今日は早かったな」

「ただいま。透佳くんと権蔵さんのおかげで、今日は早く帰れました」

あれから部長含む上位役職者は、社長室にこもり、状況説明と会社としての対応を話し合った。

しばらくすると、今日は全社員、無理のない時間に帰宅しなさいという命令が下された。

今課されているスケジュールは、一旦、全て白紙にするという。

会社として、権蔵さんの訴えを無視できないという結論に至ったようだ。

責任を取る形で部長はこの案件から離脱。降格なり減俸なり、今後処分が話し合われるという。

後日、社長と、現場を仕切る千葉さんが揃ってPITへ打ち合わせに行くそうだ。

現状の報告と、虚偽申告を謝罪し、今後の方針をしっかり話し合ってくるという。

スケジュールが伸びるなり、開発範囲が調整されるなり、何かしらの対応が取られると思う。

もちろん、すんなりとはいかないだろう。スケジュールが伸びれば、その分、開発コストは増えるし、顧客に謝罪だってしなければならない。

うちの会社としても、資金的な面で痛手を被る覚悟だ。状況的に言って、うちとPITで開発コストを折半することになるだろう。

これまで非人道的なやり方で荒稼ぎを続けてきた会社に、罰が当たったといったところか。
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