エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
「本当はペペロンチーノにしようと思ったんだが、彩葉は辛いものが苦手だったことを思い出して」

「それ、小学生のときの話ですよね? もう大丈夫ですよ」

「なら、次はそうする」

少しずつ私の好みを覚えていく透佳くん。

そういえば、私は透佳くんの好みをよく知らない。

幼い頃からワガママなんて言わず、出されたものを黙々と食べるような男の子だったから。

「透佳くんは、何が食べたいですか?」

私の質問に、彼はフォークを持つ手をぴたりと止め、しばし悩む。

「カレー」

「それから?」

「ハンバーグ」

「ほかには?」

「オムライス」

思わずぷぷぷっと笑ってしまった。当の透佳くんの好みが、小学生で止まっている。

「なんだ? 文句あるのか?」

私に笑われて、不機嫌そうにムッと眉をひそめる彼。

「いいえ。作りやすくて、ありがたいです」

フォークにパスタを絡めながら、笑いを堪える。

次のお休みの日は、私が夕食を作ってあげよう。まずはカレーでいいかな?

そんなことを思って、パスタを口に運んでいると。
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