エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
「大人になればなるほど、余計な情報に惑わされる。幼少期の好き嫌いが一番素直に自分の心を投影しているんだよ」

なるほど、そうかもしれない。お花を好きな気持ちはあの頃から変わらないから。

もし本当にお花屋さんになれたなら――そんな人生も素敵だろう。


食事を終えた私たち。私はキッチンで食後の紅茶を準備。

その間、透佳くんはソファに座り、ローテーブルの上に小冊子のようなものをずらずらと並べていた。

「それ、なんですか?」

紅茶を運び、テーブルの上に目を落とすと、専門学校のパンフレットが並んでいた。

フラワーショップの経営や、フラワーコーディネーター、アレンジメントなど、お花に関する職業が勢揃いしている。

「進路を決めるときも、家計が厳しくて働くしかなかったんだろう?」

憐れみの眼差しを向けられて、きゅっと唇を引き結んだ。

そんなことを透佳くんに吹き込んだのは両親だろうか。
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