エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
二週間も経つと、あの不審な胸の痙攣もどき――正しくは動悸だったらしいのだが――は、すっかり収まり、落ちた体重も元に戻り始めた。

毎日きっちり七時間眠っているせいだろうか。すごく健康になった気がする。

残業はゼロではないけれど、遅くとも二十一時には帰ってこられるよう調整しているから、そこまで疲れがたまることもない。土日もちゃんと休めている。

体調も戻ってきたことだし、そろそろ軽い運動でも始めたほうが健康にいいと透佳くんは言う。

透佳くんと私のお休みが重なった日曜日、ふたりで早朝ウォーキングに出かけようという話になった。

五月も後半に差し掛かり、気温は春から夏に近づいて、歩いていると汗ばむくらいだ。

ふたりして薄いカットソーにジーンズというカジュアルな格好で家を出た。

私は手ぶら、透佳くんは斜めがけタイプのショルダーポーチを持ち、私の分の荷物も預かってくれている。

大通りからわき道に逸れ、住宅街をくねくねと進むこと四十分。

芝生の広場や植物園、サイクリングコースなどがある大きな公園に辿り着いた。

舗装された小道を進むと雑木林があって、ひんやりとした澄んだ空気が辺りを包んでいる。
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