エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
「……こんな場所で逆プロポーズとか、不意打ちも甚だしい」

ハッとして我に返る。逆プロポーズ?

今私は、自分から透佳くんにプロポ―ズしてしまったのだろうか……!?

自分が発した言葉に今さら赤面する。なんて大胆なことを口にしてしまったのだろう。

「あの、今のは、その――」

彼の手を振り払い、胸の前でバタバタ振る。違う違う、とでもいうように。

しかし、そんな私を無視して、彼は私の身体を自身の胸の中に押し込めた。

息ができなくなるほどに強く、ぎゅっと私を抱きしめる。

「嬉しいよ、彩葉。いつか、結婚したくないと言われるんじゃないかと怖かった」

「そ、そうなんですか……?」

これまで、不安なんて全く表に出さなかった彼。思いもしなかった独白に、あわあわと困惑する。

「彩葉はこれまで、俺のことを夫として見てくれなかっただろう」

私を翻弄し振り回していたはずの透佳くんが、まさかそんなことを考えていただなんて、私、全然気づかなくて。

「あの……そういうわけではなくて……」

なだめるように抱き返す。彼の大きな背中に手を回し、精一杯撫でてあげる。
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