エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
教授がたしなめる。しゅんと押し黙る沢渡先生。どうやら父親には強気に出られないらしい。
教授は、おもむろに美沙さんに視線を移した。
ラベンダー色のゆったりとしたワンピースを着て、彫刻のように固まっている彼女。
私たちが話をしている間、決して口を出してはこなかったけれど、退屈というわけでもなさそうで、緊張感を漂わせたままキチンと姿勢を正していた。
「……実は、うちの娘の美沙は、須皇先生とお付き合いしていたんだ」
美沙さんが顔を伏せる。
すごくつらそうな表情。恋人を奪った女性が目の前にいるのだから、当然なのかもしれない。
けれど、どうしてだろう。初めて出会ったとき、彼女は私を透佳くんの婚約者と知りながらも笑顔で接してくれた。
あのときの彼女の態度が演技だったとは思えないのだけれど、急に変わってしまったのはなぜ?
今は暗い顔で伏せっていて、目も合わせてくれない。
「須皇先生が美沙と結婚したあかつきには、私の跡を継いで教授になってもらおうと思っていたんだ。……だが、婚約は破棄されてしまった。須皇先生はうちの娘を捨てたのだ。お腹の命とともに」
教授は、おもむろに美沙さんに視線を移した。
ラベンダー色のゆったりとしたワンピースを着て、彫刻のように固まっている彼女。
私たちが話をしている間、決して口を出してはこなかったけれど、退屈というわけでもなさそうで、緊張感を漂わせたままキチンと姿勢を正していた。
「……実は、うちの娘の美沙は、須皇先生とお付き合いしていたんだ」
美沙さんが顔を伏せる。
すごくつらそうな表情。恋人を奪った女性が目の前にいるのだから、当然なのかもしれない。
けれど、どうしてだろう。初めて出会ったとき、彼女は私を透佳くんの婚約者と知りながらも笑顔で接してくれた。
あのときの彼女の態度が演技だったとは思えないのだけれど、急に変わってしまったのはなぜ?
今は暗い顔で伏せっていて、目も合わせてくれない。
「須皇先生が美沙と結婚したあかつきには、私の跡を継いで教授になってもらおうと思っていたんだ。……だが、婚約は破棄されてしまった。須皇先生はうちの娘を捨てたのだ。お腹の命とともに」