エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
「見ない振りなどしないと思います。きっと透佳くんは、責任を取ると言うでしょう」
「しかし、君がいる限り、認知することはあっても、この子の父親になってくれることはないだろう。養育費が欲しいわけではないのだ。金なら、うちにだっていくらでもある。大体、自らの手で養育もせず、金だけ払う関係が、見て見ぬ振りでなくてなんだというのだ」
子どもができた、そんな状況であるにも関わらず、透佳くんはなおも私を選んでくれるだろうか。
わからない。
子どもを選ぶ彼であってほしい。でも、彼と別れたくはない。そんな矛盾した感情に挟まれて、どうしたらいいのかわからない。
「ここまで言えばわかるだろう、早風さん。どうか身を引いてほしい。生まれてくる命のために。加えて、心臓移植という最先端医療の発展のためにも」
壊れた人形のようにぎしぎしとした動きで、美沙さんに目を向ける。
美沙さんの表情はつらさを増していた。ぎゅっと目をつぶり、今にも泣き出しそうな顔で――。
「……ごめんなさい……!」
ただひと言、それだけ、掠れた声で絞り出した。
「しかし、君がいる限り、認知することはあっても、この子の父親になってくれることはないだろう。養育費が欲しいわけではないのだ。金なら、うちにだっていくらでもある。大体、自らの手で養育もせず、金だけ払う関係が、見て見ぬ振りでなくてなんだというのだ」
子どもができた、そんな状況であるにも関わらず、透佳くんはなおも私を選んでくれるだろうか。
わからない。
子どもを選ぶ彼であってほしい。でも、彼と別れたくはない。そんな矛盾した感情に挟まれて、どうしたらいいのかわからない。
「ここまで言えばわかるだろう、早風さん。どうか身を引いてほしい。生まれてくる命のために。加えて、心臓移植という最先端医療の発展のためにも」
壊れた人形のようにぎしぎしとした動きで、美沙さんに目を向ける。
美沙さんの表情はつらさを増していた。ぎゅっと目をつぶり、今にも泣き出しそうな顔で――。
「……ごめんなさい……!」
ただひと言、それだけ、掠れた声で絞り出した。