エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
「目が真っ赤な上に、リビングのゴミ箱をティッシュで山盛りにしてあっさりバレる未来が想像できる。あんたって、隠し事とか下手そうだから」

そう言って、後部座席からティッシュボックスを引っ張り出して私の膝の上に置く。

それから、コンビニのビニール袋も一緒に。ゴミ箱にしろってことだろうか、

「……ありがとうございます」

お言葉に甘えて、思いっきり鼻をかませてもらった。涙が止まらないせいで、かんでもかんでもキリがない。

そんな私の様子を沢渡先生は、ため息を交じらせながらも辛抱強く眺めている。

「……あの話、まだ須皇先生にはするなよ」

ぽつりと先生が念を押す。

「……わかっています」

私の口から、美沙さんに子どもができましたなんて告げられない。

こういうのは、本人の口から――美沙さんが直接伝えるべきだ。

何を聞かれても知らぬ存ぜぬをつらぬこうと決意を固める。

沢渡先生は私の顔を覗き込み、涙が止まったことを確認して運転席を降りた。

「降りられる?」

ぐるりと正面から回り込み、助手席のドアを開け、私に手を差し伸べる。

「……ありがとうございます」
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