エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
『でもどうして? 私にはひまわりなんか似合わないって言ってたのに』

訪ねると、むすっとしていた透佳くんの頬に、少しだけ赤みが差した。

『どうしたの、透佳くんもお風邪なの? お顔が赤いよ?』

透佳くんは『違う!』とムキになって否定する。

でもすぐに彼はプッと吹き出して、はにかむように笑った。

『彩葉は、ひまわりみたいに可愛いよ』

そう言って、私の頭を優しく撫でてくれた。

『今日の透佳くん、なんだか優しいね』

キョトンと目を丸くすると、『病人を相手にからかったって、つまらないだろ』とため息をつかれてしまった。

それに、と。私の頬を撫でながら、顔を近づける。

『彩葉は俺のお嫁さんになるんだから。早く元気になってもらわなきゃ困る』

透佳くんの唇が、ふんわりと私の頬に当たった。

幼い私でも、それが『キス』といって、大好きな人とだけするものだということは知っていた。

そっか、と納得して、ほかほかした気持ちのまま目を閉じる。

鮮やかに咲くひまわりの花をぎゅっと握りしめたまま、深い眠りへと落ちていった――

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