エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
エピローグ
一面にひまわりの花が咲いている。地平線の、はるか先のほうまで。

頭上には真っ青な空。照りつける太陽。でも、風はひんやりとしていて心地よい。

小高い丘の上にあるからだろうか、八月だというのにうだるような暑さは感じない。

「すごく綺麗ですね!」

透佳くんの手を取り、子どものようにはしゃぎまわる私。

「おい、彩葉。落ち着けって」

彼は苦笑しているけれど、楽しそう。穏やかな笑みを浮かべて私を見守ってくれている。

「ひまわり畑って、一度来てみたかったんです!」

三泊四日の北海道旅行。お互いのスケジュールをなんとか調整して、ひまわりの開花に間に合うように日程を組んだ。

「すまない。海外に連れいってやれなくて」

担当の入院患者さんの容態が落ち着くまでは、東京を離れられない彼。手術の予定が入っていてもダメ。

今回の三泊四日ですら奇跡だった。無事に来られただけでも、ありがたい。

「いいんです。それに、私の仕事のほうもまだ軌道に乗っていませんし」

ずっとお世話になっていたシステム会社は、今年の三月、年度末をもって退職した。

四月からは、フラワーデザイナーとして働いている。

雑誌や広告の撮影で使うお花のスタイリングや、イベント会場の装花が主なお仕事。
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