エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
「ああ。あの日、俺は結婚を決めたんだ」

「え?」

結婚を決めたって、どういうこと? まだ私が小学一年生で、彼は中学一年生だったのに、もう?

彼は私の頭に手を置いて、柔らかな笑みを浮かべる。

「許嫁なんて、それまで意識したことはなかった。だがその日、ひまわりを受け取ってくれたときの笑顔を見て気づいたんだ。俺はこの笑顔を一生かけて守っていきたいって」

頭をくしゃくしゃと撫で回し、たっぷり愛情を注いでくれる。そういえばあの日も、彼に頭を撫でてもらったっけ。

それまでは、からかわれたり、いじめられたり、ふたりのやり取りはさんざんだった。

けれど、その日、初めて彼は私へ好意を示してくれたのだ。

そんな大切な記念日だったのに、私はずっと忘れてしまっていた。熱で朦朧としていたから、仕方のないことかもしれないけれど。

「私、よっぽど可愛い笑顔をしていたんですか?」

冗談交じりに尋ねると、彼は笑って私を覗き込んだ。

「ひまわりのような笑顔だった。ちょうど、今の彩葉のような」

不意に顔を持ち上げられ、唇を奪われる。

もう何度したかわからないくらい、たくさんキスを交わした。今日も彼は、私の心を甘く奪ってくれる。
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