エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
第二章 意地悪な甘やかしたがり
私の勤める会社は、お世辞にもいい会社とは言えない。
小さなIT企業なのだけれど、他の会社に比べて離職率が格段に高い。
なぜって、無茶苦茶を言う上司がたくさんいるから。皆めげて辞職していく。
「高熱!? 休んでいる暇なんてないだろう! 解熱剤を飲めば下がる!」
「間に合わない? お前には責任感がないのか! 徹夜してでも仕上げろ!」
今日も部長たちの激昂が飛ぶ。
こんな会社に勤めていていいのか、そう思わなくもないけれど、私を雇って育ててくれた恩もあるし、簡単に辞めてしまうのも気が引ける。
……実際は、育ててくれたなんて生易しいものじゃなかったけれど。愛なく千尋の谷に突き落とされたって感じだ。
それでも、這いあがるのを助けてくれた人たちがいたのは確かだ。直属の上司だったり、先輩だったり。
会社への忠誠心なんてたいしてないけれど、私を育ててくれた大切な人たちへの恩返しはしたいと思っている。