エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
「あの、メール、見ていただけましたか……?」
恐る恐る尋ねると、想像以上に不機嫌な声が返ってきた。
「言っておくが、医者には守秘義務がある。治療の経過も個人情報にあたる」
「そう……ですか」
患者の家族でもない私に、個人情報を流すわけにはいかないようだ。冷静に考えてみればその通り。しゅんとしてうなだれる。
しかし、透佳くんは「……ペラペラ喋るなよ」そうひと言念を押して、こっそりと教えてくれた。
「低侵襲冠動脈バイパス手術」
「バイ……パス……?」
聞いたこともない難しい単語が飛び出てきて混乱する。
私がさっぱり理解していないことを悟ったのだろう、彼は少しかみ砕いて説明してくれた。
『冠動脈の狭窄部を飛び越える形で迂回路、つまりバイパスを作ることで、血液の流れを確保する手術だ。それも、胸骨を正中切開するような大規模な開胸手術ではなく、低侵襲――肋骨を小切開して施術することで、患者への身体の負担を最小限に抑え……って、聞いているのか?』
後半になるにつれて、彼の丁寧さがどんどん失われてきて、最後には完全に意味がわからなくなってしまった。
思わず電話の向こうに「ごめんなさい、よくわかりませんでした……」と頭を下げる。
恐る恐る尋ねると、想像以上に不機嫌な声が返ってきた。
「言っておくが、医者には守秘義務がある。治療の経過も個人情報にあたる」
「そう……ですか」
患者の家族でもない私に、個人情報を流すわけにはいかないようだ。冷静に考えてみればその通り。しゅんとしてうなだれる。
しかし、透佳くんは「……ペラペラ喋るなよ」そうひと言念を押して、こっそりと教えてくれた。
「低侵襲冠動脈バイパス手術」
「バイ……パス……?」
聞いたこともない難しい単語が飛び出てきて混乱する。
私がさっぱり理解していないことを悟ったのだろう、彼は少しかみ砕いて説明してくれた。
『冠動脈の狭窄部を飛び越える形で迂回路、つまりバイパスを作ることで、血液の流れを確保する手術だ。それも、胸骨を正中切開するような大規模な開胸手術ではなく、低侵襲――肋骨を小切開して施術することで、患者への身体の負担を最小限に抑え……って、聞いているのか?』
後半になるにつれて、彼の丁寧さがどんどん失われてきて、最後には完全に意味がわからなくなってしまった。
思わず電話の向こうに「ごめんなさい、よくわかりませんでした……」と頭を下げる。