エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
一週間後、客先との打ち合わせで外出した帰り道。

会社には打ち合わせが長引いたと嘘をついて、権蔵さんのお見舞いに向かった。

十数年ぶりに訪れた透佳くんの病院。昔よりも建物が増え、規模が大きくなっている。

改築したのだろう、古めいた外来ホールは、近代的な建築物に生まれ変わっていた。

三階まで続く広々とした吹き抜けと、長いエスカレーターが印象的だ。

十六時、診療受付終了間際にも関わらず、まだ患者や医療関係者で賑わいを見せている。

敷地の奥には、入院棟が三棟。いずれも十階以上ある大きな建物だ。

渡り廊下や空中廊下で連結されており、入り組んだ構造は増築を繰り返した結果なのだろう、この病院の歴史がうかがえる。

B棟と呼ばれる入院棟の入口に到着したところで、私は透佳くんに連絡を入れた。

あらかじめ時間を伝えていたおかげで、五分とかからず彼は迎えに来てくれた。

初めて見る白衣の透佳くんは、なんだかとても頼もしく見える。

権蔵さんを助けてくれたという感謝の念もあるかもしれない。
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