エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
透佳くんに帰る旨を連絡して病室を出た。

一緒に夕食を食べようと誘われたのだが、まだ仕事があるからと断った。

次にとんできたメールは『次の日曜日、空けておけ』。

命令形。なんてぶっきらぼうなメッセージなのだろう。

悩んだものの、桜のよく見える素敵な病室を用意してくれたお礼をまだ伝えていなかったことを思い出し「わかりました」とだけ返しておいた。

そして次の日曜日。

私は自宅で、彼が迎えに来るのを待っていた。

どこに行くのかは知らされていない。

お金持ちの彼のことだ、突然高級なお店に連れていかれる可能性もある。

そうなったときに困らないように、それなりに見えるワンピースとトレンチコートを着て、メイクもしっかりめに施した。

こんなに気合いを入れて身なりを整えたのは、久しぶりだ。まるでデートみたい。ん? デートなのかな?

これから透佳くんが迎えに来ると知った母は、リビングとキッチンを落ち着きなく歩き回っている。
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