エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
確かに今は独身だから、こんなにがむしゃらに働けるけれど、これで家族がいたらどうなるだろう。

子どもとの時間を取れる? ちゃんとご飯を作ってあげられる? 毎日笑顔で接することができる?

……無理だ。破綻してしまう。そう思うのは、私の心が弱いからなのかな?

権蔵さんはいつもこんなプレッシャーの中で闘っていたのだろうか。

家族を支えながら、社員たちも支え、自分の心臓に鞭を打って……。

それに比べたら……。自分の弱さに涙が出そうになる。

転職は――まだダメだ。将来を考えるのは大事だけれど、今ここで転職したら単に目の前の現実から逃げるだけだ。

やりきらなきゃ。全部やりきって、それから考えよう……。


十三連勤したあとに、日曜日が休めたのは奇跡だった。

まだまだスケジュールは厳しいけれど、一旦全員休みを取ろうとマネージャーが決意したのだ。皆疲弊しきっていたから。

この休みは一日中寝ていよう。

そう決意した私は、土曜日の深夜、仕事から帰宅してすぐさまシャワーを浴びて、ベッドへ潜り込んだ。
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