エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
「あら、おはよう。朝ご飯食べる?」

母が洗いたての洗濯物をカゴ一杯に抱えてやってくる。

「自分でやるから大丈夫」

このくらいは母の手を煩わせまいと、冷蔵庫を開けた。

とりあえず喉を潤すため、麦茶のボトルを手にしたところで。

ピンポンと、玄関のチャイムが鳴った。母がドアフォンの前に飛んでいく。

麦茶をグラスに開けて飲みながら、母の様子を眺めていると。

「あら、透佳くん!」

母の声に、思わず麦茶を吹き出しそうになってしまった。

まさか突然の訪問!? 来るなんて連絡、なかったはずなのに!

父は慌ててローテーブルの上に散らかっている新聞の折り込みチラシやリモコンを片付け始めた。

ドアフォンを切った母は、洗濯物の山を隠したかったのだろう、カゴを抱えて洗面所へ逆戻り。

ふたり揃ってダイニングテーブルの上に残っていた食器をキッチンに運ぶ。連携プレイが見事だ。

でも、何が一番マズいって、私がまだ寝間着で、顔も洗っていないことだろう。母が「着替えてきなさい」と私に人差し指を突きつける。

慌てて部屋にこもり、ちょっといい部屋着を引っ張り出した。白とベージュのボーダー柄春ニットに、淡い色合いのジーンズだ。
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