エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
「転職、考えてみます……」

妻がこんなに忙しく働いていたら、夫はどう思うか――心配するのは間違いないだろう。

透佳くんを安心させるためにも、働き方は考えなくちゃならないと思う。

「ところで、本日は、彩葉のお父さんとお母さんにお許しをいただきに参りました」

あらたまって透佳くんが切り出す。

母は透佳くんにお菓子を出したあと、父と並んでテーブルに座った。私も、透佳くんの隣に腰を落とす。

「以前ご紹介した新居の準備が整いましたので、そろそろ同居を始めたいと考えております」

実は透佳くん、新居の購入について、事前に両親に相談していたらしいのだ。外堀から埋めていくところが彼らしい。

そのとき、ふたりは諸手を挙げて同居に賛成していたとか。

知らなかったのは私だけだったなんて。軽くショックだ。

「あの高層マンション、本当に素敵よね! リビングからの眺めが最高で、お部屋も広くて。いつか泊まりに行かせて」

母の言葉に「もちろん」と頷く透佳くん。

……ちょっと待って。事前に相談したとは聞いていたけれど、どうしてリビングからの眺めまで知っているのだろう。まさか……。
< 78 / 259 >

この作品をシェア

pagetop