エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
あんぐりと口を開けたまま透佳くんに目をやると、彼は涼しい顔をしてサラリとひと言。

「先日、彩葉が会社に行っている間に、マンションへお招きしたんだ」

「いつの間に……」

それならそれで、事後報告くらいしてくれればいいのに。どうもうちの両親は報連相がなってない。

母はうっとりしながら、両手を合わせる。

「素敵な白い車にも乗せていただいたわよねー、お父さん」

「ベントレーだよ。あれは男の憧れだ……」

父まで夢見心地だ。

そういえば父もかつてはかなりの車好きだった。今では普段使いの一台以外、すべて売ってしまったけれど。

「お父さんと車の話ができて嬉しいです。うちの父とは好みが合わなくて」

「ああ、あいつは昔っから、ベンツとかBMWとかわかりやすいのが好きだからな。ああいうさりげない男のロマンは理解できないんだよ」

なぜかわからないけれど、父と透佳くんが意気投合している……。

どうやら透佳くんは、父の心をつかむことに成功したらしい。
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