エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
コスメや化粧品なんかは、近くの薬局でひと通り揃えた。

服も少しずつ買い足そうと彼は言ってくれているが、仕事が落ち着いたらの話になりそうだ。当面は、会社と家を往復できればいい。

マンションの地下駐車場に到着して車を降りると、透佳くんは私の持ってきた重量級のボストンバッグを両肩にかけた。

私は細々とした買い物袋を両手に持ち、マンションの玄関をくぐる。

コンシェルジュに台車をお貸ししましょうかと尋ねられたが、大丈夫だと断った。

「それにしても、突然同居だなんて、ちょっと急ぎすぎじゃありませんか? そりゃあ、私の仕事が落ち着くのを待っていたら、埒が明かないかもしれませんが」

「一緒に暮らしていたほうが、予定を合わせるのも楽だろう。お互い、融通の利かない仕事をしているんだから。なにより、ここなら夜道が安全だ。駅まで迎えに行くこともできる」

「あ……なるほど」

どうやら私の帰宅時間が遅いことをずっと気にしていたようだ。

大通り沿いにあるこのマンションなら、深夜も道が明るく車や人通りがある。

駅からひとりで歩いて帰ってきたとしても危なくはないだろう。

いざとなれば、透佳くんだって駆けつけられる距離だ。
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