エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
婚姻届けはまだ実家の引き出しの奥に眠ったままだ。

でも……書いてもいいかなと、少しずつ思い始めている自分がいる。

我ながら、単純だなぁと思う。あれだけ苦手に感じていた人に対して、今では百八十度違う印象を抱いているだなんて。

あの日のキスが私の心を溶かしてくれたのだろうか。彼と初めて交わした、強引で唐突だったキスが。

あの瞬間から、一歩一歩、結婚への道筋を歩み始めている気がする。彼を好きになり始めているのだと思う。

彼もそう思ってくれているのかな?

そうだといいなと思いながら、私はパスタの最後のひと口を頬張った。
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