全てを君に捧ぐ
ー1ー

私はここのところ、いじめを受けている。

私の名は、岩永 謡(イワナガ ウタイ)。

親は岩永財閥の会長。

だが、そんなことはどうだって良い。

地位や体裁(ていさい)、財産とかに興味など無い。

ましてや、あんな男になど───。


・ ・ ・

『好きです』


放課後、告白を受けた。

名前も知らない、顔だけは良い男子生徒から。


『失礼ですが、貴方は誰ですか』

私の問いかけに、男子生徒は目を丸くしていた。


『えっ、俺の事知らないの!?』

全く知らない。


こんな、自意識の塊の様な男は。


『俺、城谷 大徳(シロタニ ダイト)。俺、君の事が好きなんだ。付き合って下さい』

満面の笑みを浮かべ、名を名乗り、礼をした男子生徒・城谷 大徳…。

『申し訳ないが、交際をする気は毛頭無い』

私はきっぱりと振り、帰宅した。
< 1 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop