全てを君に捧ぐ
翌日、普段通りに登校すると、女子達の視線が普段と違っていた。
ヒソヒソと、話し声が耳に痛い。
ハッキリと言って、不快だ。
「ちょっと、岩永ちゃん」
私の名を呼び、ちょいちょいと手招きしているのは、クラスでも目立つ、あか抜けた明るい茶髪の女子、夏目(ナツメ)さんだ。
「何かご用ですか?」
夏目さんの背後には、同様に目立つ容姿の女子が数名。
敵意を、向けている。
恐怖など無い。
「大徳クンの告白を断ったって、マジぃ?」
甘ったるい声色に、不快感は感じない。
私ごときに、甘い声など使わなくても構わないのに…。
夏目さんは、そのままで充分愛らしい。
「大徳…さんとは?ああ…」
もしや、昨日の…。
「城谷さんのことですか?」