全てを君に捧ぐ

翌日、普段通りに登校すると、女子達の視線が普段と違っていた。

ヒソヒソと、話し声が耳に痛い。

ハッキリと言って、不快だ。

「ちょっと、岩永ちゃん」

私の名を呼び、ちょいちょいと手招きしているのは、クラスでも目立つ、あか抜けた明るい茶髪の女子、夏目(ナツメ)さんだ。

「何かご用ですか?」

夏目さんの背後には、同様に目立つ容姿の女子が数名。

敵意を、向けている。


恐怖など無い。

「大徳クンの告白を断ったって、マジぃ?」

甘ったるい声色に、不快感は感じない。

私ごときに、甘い声など使わなくても構わないのに…。

夏目さんは、そのままで充分愛らしい。

「大徳…さんとは?ああ…」

もしや、昨日の…。

「城谷さんのことですか?」

< 2 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop