全てを君に捧ぐ
剣は、何より大切な存在。
私の、たった一人の片割れだ。
幼い頃の病気の後遺症で、両目の視力を失った。
岩永財閥の後を継ぐ条件に、「健康体」というものがある。
盲目の剣は後を継げず、継承権は私の従兄に渡り、父は酷く悔しがり、何かあると剣を責めた。
剣は暴力を振るわれ、私は継承権に関わりの無い“娘”の為、冷遇される。
私と剣は、幼い頃から傷を舐め合っている。
そうやって、生きてきた。
依存。自己満足。
そう言われたって構わない。
これが、私達の関係の形だ。
私は剣の姉として、片割れとして、友として、剣を第一に考える。
守る必要なんて無い。
守らなければいけないほど、剣は弱くない。