君は私の光



 後ろを振り返った私は、私の腕をつかんでいる人の顔を見た。
 私の腕をつかんでいるその人は私と同級生くらいの女の子。
 彼女の表情は少しムッとしていた。


「あなた、なに光と馴れ馴れしくしてるのよ」


 ……え……? 馴れ馴れしく……?


「…………」


『そんなつもりじゃない』と言おうとしたけどまだ声が出なかった。


「ちょっと聞いてる?」


 彼女はますます強めの口調で言ってきた。


「…………」


 私は何かに声を止められているかのように声を出すことができない。

 ……どうしよう……このまま何も言えないままでは……。


「梓‼」


 ……え……。

 その声は……。


「光‼」


 私が光くんの名前を呼ぶ前に彼女の方が光くんの名前を呼んだ。


「お前、何やってるんだよ」


「何やってるって別に……」


「いいから行くぞ」


「ちょっと光……」


「梓、ごめんな」


 光くんはそう言って彼女のことを連れていった。

 あっという間の出来事だったから私はただ呆然と立ち尽くしてしまった。

 あれは一体なんだったのか……私は理解に苦しんだ。

 私が理解に苦しんでいると……。



「梓‼」


 少し遠くから私の名前を呼ぶ声が聞こえた。


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