君は私の光
町田さんが声をかけているのは、はっきり聞こえていたけど、私はとにかく無言で町田さんのことを大学から少しでも離れたところに連れ出そうと必死に歩いた。
ここらへんかな……。
「……なに? 今度はいきなり止まって」
ある程度歩いたところで私は足を止めた。
「ねえ、一体何? こんなところまで連れてきて」
「…………」
「ちょっと篠宮さん?」
「……町田さん……」
「え……?」
「私……この間、町田さんに『光くんとプライベートで二人きりで会わないで』とお願いされたとき、確かに町田さんのお願いは当然のことだと思ったの。だから私は町田さんの言う通りにしようと思った。私は、もともと光くんと二人きりで会う資格なんてなかったから。……でも…………」
「……でも……?」
「……でも本当にそれでいいのかと思った。町田さんに『光くんと二人きりで会わないで』とお願いされて、それでその通りにするというのは、ちょっと違う気がして……」
「……え……?」
「それって、ちゃんと自分と向き合うことをしていないということだと思ったから。……それに…………」
「……それに……?」
「町田さん……」
「……私……?」