君は私の光



 私の名前を呼んだ光くんの声が聞こえたすぐ後に町田さんの声が聞こえてきた。
 町田さんは光くんに「ちょっと光、今は私と話してるんだからよそ見しないで」と言っていた。
 そんな町田さんに光くんはそのままおとなしくなっていた。

 町田さんに言われるままおとなしくなっている光くん。
 ……なによ、いつもは『梓』『梓』って言って追っかけてくるのに……あんなにも簡単に町田さんの言いなりになって……。
 ……って、別にそんなこと私には関係ないことじゃない。

 町田さんは『正々堂々と戦いましょ』と言っていたけど、それは町田さんが勝手に言ったことで私は町田さんと、光くんを奪い合う戦いなんてしようとは全く思っていない。

 だから光くんと町田さんがどんなに仲良くしていたって、それは私には全く関係ないこと。

 ……それなのに…………。

 なんで光くんと町田さんが何を話しているのか気になるの……?
 なんでこんなにも……こんなにもイライラするの……?

 もう考えたくない。もう何も……。




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