君は私の光
光くんは私の腕をつかみ……。
……そして……そして……私に……キ……ス……を……。
…………。
その時間は、たぶん、ほんの一瞬。
でも。
私の中では。
実際よりも長く感じた。
……光くんの……唇が……私の唇に……。
それは……。
それは……なんて……思えば……感じればいいのか……。
…………。
……なんだろう。
私の頭の中は、いろいろなことがぐるぐると回って忙しいはずなのに。
なんだろう。
なんだろう……この気持ち。
この気持ちは……。
いろいろなことが頭の中をぐるぐると回っているとき。
光くんの唇が私の唇からそっと離れた。
そして光くんは。
やさしくもあり、だけど少し寂しげな目で私のことを見つめた。
その瞳は、少しも曇りが無く美し過ぎるくらいに澄んでいた。
そんな光くんに見つめられて。
私は恥ずかしくなった。
そして。
それと同時に、胸の鼓動も激しく高鳴ってきた。
だから。
だから、そんなにも見ないで‼ 光くん‼
私は心の中で何度も訴えた。
私が心の中で訴えていると。
「……本当に……本当に……梓は……」
光くんが口を開いた。
そう言った光くんの声のトーンは少し寂しそうで。
そう言った後も、光くんは私のことを見つめ続けていた。
光くんに見つめられ続けているから、だと思う。
私は恥ずかしさと激しい胸の鼓動で頭の中がパニックになっていた。
パニックになっていたせいか……。
「……なっ……なにするのよ‼」
ついこんな言葉が……。
「……なっ……なんだよっ。梓がちっともわかってくれないからっ」
光くんは私の言葉に困ったような感じでそう言った。
「……だっ……だからって、いきなりこんなことっ……こんなことを……っ」
なんでっ……なんで、このタイミングで……っ。
こんなタイミングで……キ……ス……なのよ……。
「しょうがないだろ、それしか思いつかなかったんだから」
……‼
なっ……‼
「しょうがないですって⁉ しょうがないで、こんなこと……こんなことを……する……なんて……」
本当に光くんは……‼
「……そんなに……」
「え⁉」
私はまだ頭の中がパニックになっていたせいか、声のトーンが少し強めになってしまった。
「……そんなに……嫌だったかよ……」
「え……?」
「……そんなにオレと……する……ことが……」
「……‼」
……なっ‼
なななっっ……なんてことを訊くの‼ 光くんは‼
「……どうなんだよ……」
~~~っっ‼
「……ど……どうなんだよ……って……そ……そんなことを訊かれても……っ」
そんなことを訊いてこないでよっ。
「……じゃあ……」
「……?」
『じゃあ』……なに?
「……もう一度……」
もう一度……?
「……していいって訊いたら……拒否する……?」
「……‼」
はっ……はぁ⁉ 光くんは、またなんてことを訊いて……っ。
「……どうする……?」
「‼○△□~⁉○□~‼」
いっ……いい加減にして~っ‼ 光くんっっ‼