君は私の光



 私の呼びかけに町田さんは振り返った。


「……えっと……あの……その……」


 私は町田さんを呼び止めたものの、一体何を言っていいのかわからなかった。
 すると……。

 町田さんは一瞬、笑顔になってまた歩き出した。
 そのとき町田さんは私と光くんに背を向けたまま手を振っていた。
 私はそんな町田さんを静かに見守った。


「……梓……」


「うん?」


「瑠佳が言っていたことってどういう意味? オレのことを梓に譲るとか、負けたわけではないとかって……」


「……え……えっと……それは……」


 いっ……言えるわけがない。
 光くんのことで私と町田さんが……なんて……そんなこと……。
 でっ……でも、あれは町田さんが一方的に決めたようなもので、私は町田さんと勝負をしていたつもりはなかったのだから……。


「……梓……?」


「……あ……ううん、光くんは何も気にしないで大丈夫だから」


「……?」


 光くんは不思議そうな顔をしていたけど、私はそのことに関して何も言わなかった。

 それよりも今日は……。


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