余命一ヶ月の私は、死神に恋をした。
「信じてないならさ、この羽触ってみ?」



一本の黒い羽を差し出されると、思わず息を飲んだ。…もし、仮に彼の言うことが本当だとして、これに触ると死ぬとか…そんなんじゃないよね?それがこの人の狙いだとしたら?


────なに今更怖がってるんだ、私



どうせ死ぬんだから、その覚悟は出来てるんだから。
恐る恐るその羽に手を伸ばした。


羽に手が触れた瞬間、その部分から何故か黒い塵になって風に飛ばされていった。
…っどうしてこんなことが、だって、さっきまでここに…



「すげえだろ」

「な、なんで、うそ…」

「当たり前じゃん死神様なんだからさ」

「本当に、死神、なの?」



呆れたようにため息をつく死神は「だからそう言ってんじゃんー」と口を尖らせた。



「でもだとしても、どうして私が死んだら困るの?」

「そりゃ俺の担当だからな」

「…担当?」

「そ、ほら死神界だってうまく回さなきゃいけないだろ?だから担当制なの」



死神界…そっか、死神にも世界があるんだ。ていうかなんで私もこんなにすんなり受け入れてるんだろう。でも久しぶりにこうやって誰かと話すのが楽しかった。…相手は死神だけど。
< 4 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop