結婚って、こんなんでしたっけ!?  ~私と課長の成り行き結婚~
そう言って、先頭を歩く部長の後に課長、私と続いて会議室を出た。

「あ~、皆ちょっといいかな?
 久宝課長から皆に話がある。」

部長の声に、営業部の皆が一斉にこちらを見た。

「えー、私事で恐縮ですが、この度、こちらにいる綾瀬さんと入籍
 したことをご報告いたします。
 綾瀬さんは、会社の引継ぎなど終了したところで退職となります
 ので、それまで、よろしくお願いします。」

課長の言葉に、エ!!という顔の女性社員。

「嘘~!?」「ショック~!!」などの声も聞こえてくる。

さすが、社内人気NO.1。


「では、綾瀬さんからも一言」

「あ、はい。
 この度、久宝課長と入籍しました。
 退職までの間、どうぞよろしくお願いします。」

今度は「マジか!」「嘘だろ~」という男性社員の声。

男性社員の声に、課長が一瞬ピクっとしたのは見逃しておこう。


席に着くと、周りの女子社員に囲まれる。

少し目が怖いのは気のせいだけではないはず・・・。

すると、「皆、家の奥さんを苛めないでね。」と低音のセクシー
ボイスがかけられた。

流石にその声の中、何かするわけにもいかなかったのか、皆仕事に
戻っていった。

私は口パクで「ありがとう」と課長に伝えると、軽く微笑みながら
頷いてくれた。

“奥さんを護ってくれるなんて、思ったより大事に想ってくれてる?”

今のところ、お互いに好きとか愛してるなんて言った事もない私達。

少しは、好きって思ってくれてるのかな?







< 29 / 41 >

この作品をシェア

pagetop