ただ西野くんが好き。
ーーー2日後。
朝、佐々木先生から山本くんと西野くんが体調不良で欠席したことを知らされる。
まさか、、もしかして……
喧嘩は4人とって『普通』
ならもうしてしまった可能性がある。
まさかこんな早くするとは思わなかった。
いや、出来ればして欲しくなかった。
でも、まだ本当かどうかは分からない、今までのは私の想像にしか過ぎない、今日は西野くんに直接会って確認しよう。
昼休みの時間、生徒や先生がたくさんいる中、瀬崎くんとばったり。
ぶっかけうどんを頼んで食べるけど、座る席がなくて瀬崎くんの向かいに座る。
「おはよ、せんせ」
「おはよう、瀬崎くん。」
本当は『こんにちは』だけど、そこは気にしないで気になることを聞こうかな、放課後まで待てそうにないし。
「瀬崎くん、聞きたいことがあるの」
「奏と颯のこと?」
「もしかして……」
「昨日、晴翔の族の倉庫でバッチバッチにやり合ったってさ」
想像が現実になってしまった……
休むまでってことは怪我の度合いが深刻なのだろうか。
「私のせいで……、もうなんで……」
ここまで来るとやっぱ別れた方がいいんじゃ…と思ってしまう。私のためにここまでされるとは思わなかったし、生徒と教師のラインを守った方が良かったと今更だけど後悔する。
「だからー、七瀬せんせのせいじゃないって、2人なりの解決法だから」
「2人の怪我の度合いは酷いの?」
「うーん、昨日部屋にいったけど、ひどいね、2人とも。ちょいとやりすぎ」
『ちょいと』じゃなくて『だいぶ』やらかしてる感じがする。
うどんは食べる気が失せて、殆ど残してしまった。
「………まじで……」
颯に会って予想以上の怪我に酷さに立ち竦むことしか出来ない。
驚きで言葉が出ないとはまさにこの事。
左目は腫れて、頭には包帯、背中や腕には大きな痣。
颯は今日ずっとベッドで休んでいたらしい。
「なんでここまでやったの…?」
「美波の事だけじゃない、今までの奏の鬱憤や俺の気持ちも本当全部吐き出しただけだから」
『だけだから』じゃない…流石にやり過ぎだと思う。でも2人にしか分からないことがある。そこに侵略したくない。でも怪我は心配!!
「救急箱持ってきたから、処置しようか?それとも保健室の先生呼ぶ?」
「ううん、さっき、晴翔から処置してもらった。あいつの家暴走族でさ、あいつ族に所属はしてないけど情報集めとか戦いとか色々できるんだよ」
「そっか、痛みが酷くなったすぐ誰が先生を呼んでね」
「その時は美波を呼ぶ」
左目が腫れてても私を真っ直ぐ見つめる輝いてる目。
「美波」
「うん?」
「俺にキスして」
「えぇ!?」
いきなりだし、恥ずかしくて出来ない。
「なんでいきなり」
「キスしたら早く治りそうだから」
いつも受け身の私だけど、今は颯が受け身。
傷は痛いんだろう、痛いに決まってる。見るこっちもしんどいくらいに。
ーーー1回だけならいいかな。
「チュッ」
颯の唇に軽くキスをした。私今頬が赤くなってる……
「俺が治ったら深いキスしてね」
「うん、分かった」
今までも深いキスばっかりしてきた。
だから、これからも深くて甘いキスでいいよ…
そう心の中で呟いた。